世界最大規模のモバイル関連展示会「MWC 2024」が、2月26から29日まで、例年通りフィラ・バルセロナ・グランビア(Fira Barcelona Gran Via)にて開催された。主催者GSMAの発表によると、2,700を超えた出展者、スポンサー、パートナーがこのイベントに参加し、来場者数は前年の約88,500人を大きく上回り、205カ国・地域から101,000名以上集まった。
今年最も注目されたトピックは「AI(人工知能)」である。多くの企業が、自社の製品開発にAIをどのように効果的に組み込めるか、また、その導入が業界や事業展開にどのような影響を及ぼすかに関心を持っている。AIは国際会議での議論の中心となり、クライアントとの会話にも頻繁に登場するキーワードだった。 English
MWC 2024 会場内
目次
政府や関連機関が参加
2023年に引き続き、今年もスペイン国王フェリペ6世、スペイン首相ペドロ・サンチェス、姚敬・駐スペイン中国大使と、中前隆博・駐スペイン日本大使らが大会に参加した。昨年のMWCの成功を受け、今年は各機関の主要人物や各国の報道機関も現場で取材に訪れた。中国工業情報化部(MIIT)の副部長張雲明や、中国の国民的人気を誇る元CCTV司会者楊瀾も会場に姿を見せた。中国政府がこの展示会に高い関心を示し、今後の中国経済への貢献を期待している様子が伺える。
中国勢の躍進
今年、中国からの出展企業は300社を超え、前年比で2倍の勢いを見せた。出展企業2,000社の中でも、中国勢の存在感は圧倒的であった。特に注目されたのは、通信機器大手の華為技術(Huawei)である。恒例のホール1全体を専用ブースとして設け、コンシューマー向けの展示とB2B向けの展示が分かれて展示された。MWC中で最大級のブースを構えた。ファーウェイの受付には、全員が中国からチャーター便で連れ来れたスタッフが配置されていた。休憩スペースは通常の企業ブースとは異なり、特別に設けられ、シェフも全員中国から招いた説もあった。Huaweiの社員やクライアントのみが利用権を持ち、一般の来場者は入場できないようプライバシーが厳重に保護されていた。
Huaweiは今年も数多くのGLOMO賞を受賞した。例年と同様、GLOMO賞の受賞企業にはHuawei、ZTE、China Unicom、およびSK Telecomが名を連ねる。今年初の受賞となった企業は、Honor(2020年11月にHuaweiから独立)、Sony、Samsungとなる。GLOMO賞は、モバイル業界の米国アカデミー賞に匹敵する位置付けである。
新たな出展企業:YOFC
新たに出展された中国企業の中で、特に注目を集めたのは、中国最大の光ファイバーメーカーであるYangtze Optical Fibre and Cable(YOFC)である。YOFCは、1988年に中国旧郵政省、武漢市政府、オランダ企業フィリップスの共同投資により、中国湖北省武漢に設立された。展示ブースはホール5に設置されて、通常のブースより2、3倍の大きさで展示された。
YOFC展示ブース
YOFCの主力製品である光ファイバーに対して、各国からの来場者が高い関心を示した。 多くの人が、この象徴的な商品の前で写真撮影を行った。
YOFC光ファイバー
YOFCは今回初めて出展し、代表取締役であるZhuang DanはCCTVに正式インタビューを受けた。(私たちはCEOへのインタビューに協力し、展示会全期間の撮影も担当した)
CCTVインタビュー現場
2015年、YOFCは日系企業信越化学工業との間で、合弁会社を中国湖北省に設立した。中国で社会基盤の整備が進み、通信データ量の増加する中で、光ファイバーの需要が大きく拡大している。信越化学は中国向けの光ファイバー用プリフォームの販売を強化し、YOFCは光ファイバーおよび光ケーブルの生産および販売を拡大したいと考え、合弁会社設立に至った。
ジャパンパビリオン
日本総務省が設置したジャパンパビリオンは、ホール 6に用意され、日系企業及び機関15社が集結した。KDDI、NTTドコモ、楽天、NEC、富士通などの大手通信事業者が単独で出展する中、パビリオンでの出展企業数は昨年の11社から4社増えた。展示は以下の3つのカテゴリーに分けられた。
- 5G / 6G向けデバイス/コンポーネントテクノロジー: 8社
- インフラネットワーク: 4社
- コミュニケーション イノベーション &ソリューションズ: 3社
その中で、5G向けデバイスを展開する大阪の住友電工のブースに訪れた際、担当スタッフが自社の製品「Analog-RoF」を紹介してくれた。この製品は、5Gや将来のBeyond 5Gの普及に伴い、光電融合技術を採用した幅広くネットワークを届ける光伝送装置となる。オフィスや住宅での超高速インターネット接続に貢献し、小型で低消費電力が特徴。ジャパンパビリオンでの展示は、日本の技術革新とモバイル業界への貢献を世界に示す貴重な機会となった。住友電工をはじめとする日系企業の先進的な技術展示が、今後国際舞台での活躍が期待される。
住友電工は、2025年大阪万博の誘致活動に深く関与し、博覧会の推進委員メンバーを務めている。2025年には、住友グループが博覧会に「住友館」で出展する予定。
モバイル業界のパイオニア
モバイル業界の現在の好況は、モバイル発明家であるマーティン・クーパー(Martin Cooper)氏の貢献によるものだった。彼は昨年のGLOMO賞「Life Time Award」を受賞した。世界初の携帯電話での通話を成功させてから半世紀が経過し、技術進歩により多くの人が携帯電話を利用できるようになった。2023年4月3日には、世界初の携帯電話での通話成功から50年を迎えた。
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撮影(Photograph) 京聯栄GT株式会社
編集(Editor)京聯栄GT株式会社